貢献報酬制度の変更から見えてくるIOSTの未来

本記事では、IOSTの貢献報酬の仕組みが直近どのように変わったのか、今後与えうる影響を考察していきます。
今回は、IOSTのノードであるAIYAAの目線で書くようにしています。IOST財団に対する疑問私見が含まれていますのでご理解ください。

おさらい~IOSTにおける報酬とは

IOSTメインネットには、自身の持つIOSTを任意のノードに投票(貸出ではありません)しておくことにより、IOSTで報酬がもらえます。
これを投票報酬と呼びます。日次で配分され、既に日本でも多くの方が受け取っているかと思います。

IOSTでは、これ以外に報酬が2種類存在します。合計3種類です。図にまとめるとこうなります。

今回焦点を当てて解説するのは貢献報酬ですが、まず3つの報酬について、最新の状況も踏まえて解説します。

3種類の報酬

3種類の報酬をそれぞれ解説します。

ブロック生成報酬

IOSTメインネットのブロック生成を担う、Serviノードのみが受け取れる報酬です。
投票者への分配は行われません。もしあなたの投票先ノードがServiノードであったとしても、あなたには分配されません。
※この報酬は、クラウド(AWS/Azure/GCP)上でノードプログラムを稼働させているコストに対しての対価と考えるのが自然でしょう。

日次~ブロック生成のタイミングで分配されるようです。

投票報酬

全てのノード(正確には得票数210万IOST以上のノード)が受け取れる報酬です。投票者にも分配されます。まず、ノード受け取り分と投票者プール(投票者全員をひとくくり)受け取り分とで50:50に分かれます。投票者プールから、投票者の投票比率に応じて自動で振り分けられます。

日次で分配されています(ノードが報酬受け取りをしないと、溜まりますので、まとめて振り分けされることもあります)

貢献報酬

全てのノード(正確には得票数210万IOST以上のノード)が受け取れる報酬です。
が、その基準はノードの貢献度によります。

これまで(~2020年)は四半期に1回(つまり3か月に1回)IOST財団がノードが「あんたはこれだけ頑張った」とランクを1位から5位まで付けて、そのランクに応じて報酬が払われていました。また、払われた報酬はそのノードに投票していた投票者に自動分配されていました。

が、今は異なっています。例えば…

ランクが無くなりました。

投票者への自動分配が無くなりました。

ということで、この貢献報酬「何が変わった?」を次に解説していきます。

貢献報酬は何が変わった?

そもそも基準がアバウト…そのくせ割当額は高額

上で書きましたが、貢献報酬はもともとノードの努力に応じてIOST財団が報酬プールから支払う「ボーナス」のようなものでした。

ランク付けは各ノードの自己申告を元にIOST財団が行っており、IOST財団の意向が強く反映される報酬であることは間違いありません。報酬割当額も「ブロック生成報酬」「投票報酬」と比べるとです。IOST財団が年間4億2千万IOSTの予算をコントロールしているといっても過言ではないでしょう。

当サイトでも過去にいくつか貢献報酬に関する解説を行いましたが、なにせ配布タイミングが時期によって微妙にずれていたり、その時期によって報酬額も異なる(理由は不明)ので、明確に「こういうものです」という説明が出来ていませんでした。。申し訳ありません。

そして、つい先日貢献報酬の改善方針がIOST財団から発表されました。

Q2 2021 Contribution Focus & Rewards

この方針について、かいつまんで解説します。

貢献報酬の主な変更点

明示的な変更点

明示的な変更点(変わりました、と書いてあるもの)は以下です。

  1. 今後は継続的高品質な貢献をしているノードに報酬は払う(定期的に報告を上げてね)
    →短期的に何かやるのではなく、長期目線でちゃんと頑張っているノードを評価したい、ということみたいです。まぁこれは妥当かなと。
  2. 貢献の仕方は「技術」と「メディア(宣伝)」に大別して評価する(こちらの求める基準で貢献してね)
    →今まで貢献の評価の仕方が明確になっていなかったので、これも妥当かなと思います。
  3. 貢献報酬は基本USDTで支払う。オプションでIOSTも選択できる
    AIYAAが疑問に感じたのはここです。貢献報酬はIOSTメインネットの仕組みとして、一定額がIOSTで拠出されるはず。それをUSDTで支払うということは、財団がIOSTをUSDTに両替しているか、IOSTを使わずUSDTで立て替えしているということになります。

③について、どうしてUSDTになったかの明確な理由は説明されていません。これは推測ですが、価格変動するIOSTよりも、価格が変動しないステーブルコインでの支払いの方が「配布時期によるレートのブレが発生しないので計算等が面倒臭くない」のでしょう。

だとしても、なぜIOSTベースのHUSDではなくUSDTなのかは謎です。
(恐らく現金化する際の利便性からひとまずUSDTにした?)

ちなみに、③の対応自体は悪いことではないと思います。IOST財団の運営がうまくいっているからこそ、自分たちが発行しているIOSTではなく、ステーブルコインでの支払いが出来るようになったはずですので。

暗黙の了解点

記事内には明記されていませんが、「これは変わらないのか」「こういうことなのね」と読み取れるものは以下です。

  1. 評価単位は四半期に1回(3か月に1回)なのは変わらない
    →記事内では第2四半期、と書いてあるため、ここは変わらないと思われます。
  2. 貢献報酬の投票者への自動分配は無く、各ノードの判断による
    →記事内で言及されていませんが、ここも変わらないと思われます。
  3. ランク付けは無くなり、その公表もされない。
    →今まではTier1~5までのランク付けがIOST財団から公表されていましたが、今後はされないものと思われます。ランク付けの記載が一切記事にありません。

疑問点

疑問点については以下です。

  1. 2021第1四半期の貢献報酬分配はどこへいった?
    →ノードに対しては「欲しい人は請求して」と連絡が来ているので配布はされると思われます。
  2. 年間合計4億2千万IOST分の貢献報酬は、今後もちゃんとノードに払われる?
    →USDTになったことで、変動レートのIOST換算で合計4億2千万IOST分が1年間で各ノードに支払われているのか、事実上判断出来なくなりました。

最後に、②について重きを置きながら、AIYAAの私見を書きます。
ここからはあくまで推測ですので、「IOST財団がこう言っている」と解釈しないでください。

AIYAAの私見

貢献報酬の配布がUSDTに変更となり、貢献報酬は年間4億2千万IOSTが分配される、という前提が崩れた、とAIYAAは考えています。

このような変更を行ったのはなぜなのか。目的は何なのか。私見で書いていきます。

IOSTの価格下落防止

1つ目の目的は、IOSTの価格下落防止です。

貢献報酬をIOSTで各ノードに支払った場合、IOSTを売却してFIAT(法定通貨)にするノードも当然出てくるでしょう。過去の貢献報酬の配布額をみると、1つのノードに数百万IOSTが一度に支払われることもあり、もしそれが売却されれば大きな売り圧力になってしまい、IOSTの価格が下がってしまいます。USDTで配布すればIOSTの価格に影響は与えず、頑張ったノードに安定した金額でボーナスが出せます。

戦略的投資資金の確保

2つ目の目的は、IOST財団の戦略投資資金の確保です。

USDTで支払うということは、年間4億2千万IOSTの分配が必須ではなくなります(検証が難しくなる、というのが正しいかもしれません)
となると「もし年間約2億IOST分しか支払ってないとしたら、残り2億IOST分は何に使っているんだ!」となると思います。気になりますよね。

AIYAAは、今回の貢献報酬の変更により、年間4億2千万IOSTが事実上IOST財団の戦略的投資資金となった、と理解しました。
つまり、下記のような事項に使われるのではないか、ということです。

  • 新規取引所上場のための費用
  • 提携サービス増加のための費用
  • 各種マーケティング費用
  • 開発費用

これまでもIOST財団はこれらに対して投資は行っていたはずですが、より戦略的にまとまった費用が必要な投資を今後していく、という姿勢をAIYAAは感じました。
(これは、2年近くIOST財団を見ていたAIYAAの私見です)

おわりに

もちろん、今回の貢献報酬制度の変更は「財団の身勝手な改悪」と見ることも出来るとは思います。

が、IOST財団自身が下記記事でこのように明言しています。

Q2 2021 Contribution Focus & Rewards

IOST will not be satisfied with merely being in the CMC(Coin Market Cap) TOP 100 but will strive to grow into a TOP 50 project in the course of the year.

意訳「IOSTは2021年の終わりまでにCoinMartketCap時価総額上位50位以内のプロジェクトになることを目指す」

本日2021年4月10日時点で、IOSTの時価総額は103位です。
ノードとして、IOST財団の覚悟に期待したいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。