2021/1/13(水)にIOST財団より
暗号資産交換所の世界2位に位置するHuobi Global等に上場しているステーブルコイン「HUSD (Huobi USD)」がIOSTメインネット上で発行される
と発表されました!
これまで、HUSDはイーサリアムメインネット上でERC-20トークンとして発行されてきましたが、ここにIOSTメインネット(IRC-21トークン)が追加される形となります。
IOSTの利用用途が大きく拡大する重要ニュースです!
USD(米ドル)と1:1のステーブルコインの話は、日本の方には馴染みが無い上、HUSDもテザーほど知られていないため、分かり辛いのは当然ですね。
それでは、なるべく分かりやすく、解説していきます。
図に表すと、こういうこと!
まず、なんとなくのイメージを掴んでいただきたいので、例えを図にまとめてみました。
お札を発行するのに偽造されない高品質なお札を作る機械が必要であるように、ステーブルコインも発行・流通させるための信頼・実績のあるブロックチェーンが必要です。今まではイーサリアムのみが利用されてきました。
今回、そこにIOSTが追加された、ということになります。IOSTが選ばれた理由について明確な情報はありませんが、来月2021年2月で丸2年になるメインネットの稼働実績や種々のロビー活動が実を結んだのだろう、と思われます。
この図の中の主要な登場人物は3つです。
- Paxos Trust社…ニューヨーク州金融当局の規定に準拠するカストディアン。HUSDの発行監視・顧客確認・AML(アンチマネーロンダリング)等の役割を担う。簡単に言えば監視員役。
- Stable Universal社…暗号資産ベンチャー企業。HUSDの口座開設、ドルの入金およびそれに伴うHUSDの発行を担う。
- Huobi Global社…暗号資産交換所を運営。HUSDを各既存暗号資産とのペアで上場させている(現在45ペア)
この3社の協力によりHUSDはステーブルトークンとして発行・運営されています。
そもそもステーブルコインとは?
ステーブルコインと聞いてピンと来る方は(一般的に)少ないと思います。
暗号資産について少し調べたことがある方なら「USDT(以下、テザー)」の名前は聞いたことがあるかもしれません。テザーもステーブルコインの一つです。
ステーブルコインと呼ばれるものはテザー以外にもいくつかの種類があります。
CoinMarketCapの時価総額順に並べてみましょう。
名称 (ティッカーシンボル) | 種別 |
Tether (USDT) | 法定通貨担保型…?※ |
USD Coin (USDC) | 法定通貨担保型 |
Dai (DAI) | 暗号資産担保型 |
Binance USD (BUSD) | 法定通貨担保型 |
TrueUSD (TUSD) | 法定通貨担保型 |
Paxos Standard (PAX) | 法定通貨担保型 |
HUSD (HUSD) | 法定通貨担保型 |
HUSDはステーブルコインの中では時価総額7位、暗号資産全体の中では79位に位置しています。
ステーブルコインとしてのシェアはそこまで高くはありませんが、Huobi Globalの中では多くのアルトコインとペアになっています。また、Paxos Trust社が関わっていることもあり、規制当局承認済みです。
ステーブルコインの重要性について
ステーブルコインの重要性ですが、そもそも暗号資産を決済用途とする際に価格の乱高下は大きな支障になることは皆様もなんとなく分かるかと思います。
(大袈裟な例ですが)今日は1コイン1円だったものが、明日は5円になっていたら、その度に商品の価格を変えなければいけません。大変面倒です。
IOSTが今後De-Fiアプリケーションをサポートしていくにあたって、IOSTをそのまま利用することは難しい…やはりステーブルコインが必要になります。そのため、今回のHUSDとの提携が計画・発表されたのだろうと推測します。
(2年程前にiUSDが発表された気がしますが…忘れましょう(´・ω:;.:…)
Huobi Globalにとっては、実績もあり高いパフォーマンスに期待できるパブリックチェーンを取り入れることで、HUSDの利用範囲を広げたい。
IOSTにとっては、IOSTメインネットの実需としてメジャーなステーブルコインを取り込みたい。その結果、De-Fi等の開発需要を喚起したい。
という両者の狙いがあると思われます。
HUSDと提携するメリット
具体的な影響・メリットについて踏み込んでいきましょう。
IOSTの価格はどうなる?
IOSTメインネット上のトークン(IRC-21規格)としてHUSDが発行されます。
当然のことながらIOSTのメインネットを利用しますので、利用負荷が上がります。スマートコントラクト等の実行手数料としてIOSTが償却(バーン)されることも増えますので、必然的に流通するIOSTの絶対数が減ることになります。長期的には、IOST自体の価格の上昇に繋がる可能性があります。
(今回の発表でIOSTが1ドルになると勘違いされている方もいますが、そんなことはありません)
開発者目線で見ると?
さらに、IOSTのメリットである、Javascriptでスマートコントラクトが記述できる、手数料が安い(実質無料)、というメリットを享受して、HUSDを使った決済アプリケーション、De-Fi等が構築できるようになります。De-FiプラットフォームとしてのIOSTのシェアが拡大する可能性があります。開発者目線では「ステーブルトークンを利用したサービス・アプリを作りたいな」と思い立った際に、手軽に開発できる手段が提供されるようになった、ということになります。
(HUSDのためのSDKなどは今後の提供を待つことになりそうですが)
今回の発表からみるIOSTの今後の展望
ここ数年のステーブルコインの台頭は、ブロックチェーン技術を金融・決済に現実的に適用していく一つの答えであると思います。
IOSTは、そもそもブロックチェーンのプロトコル規格であり、暗号資産交換所で売買されるIOSTはメインネットを利用する際の(トランザクション実行のための)ユーティリティトークンであり、これを使って実際に決済を行う、と想定されたものではありません。
しかしながら、IOSTに値が付き、そこに価値があると見出すユーザーが増え、参加ノードが増え、メインネットがより使われること、これこそがブロックチェーンとしてのIOSTの価値の証明であり、今後このプロトコルを土台に増えるであろうサービスの基礎になっていくと思われます。
今回の発表は一見、地味であったかもしれませんが、今後のIOSTの中長期的な戦略・目論見が透けて見えた内容でした。筆者は非常に重要なターニングポイントだと感じています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
…?
つまりどういうこと?何が重大ニュースなのかちっとも分からないんだけど。