IOSTのEVM互換対応の現状と展望

はじめに

IOSTコミュニティの皆様、お久しぶりです

IOSTでServiノードをやっているAIYAAです。

相変わらずIOST(のみならず暗号資産全体)の価格が下降気味で「やってらんねー!」と嘆いている方も多いと思います。残念ながら価格に関しては上がるも下がるも市場次第ですので、(ステーキングしている方や現物保有の方は)上がるまで待つしかないと思います。

一方、ここ最近IOSTのメインネットのアップデートが割と多いです。
アップデート履歴はこちらから見れるので、気になる方はチェックしてみてください。

https://github.com/iost-official/go-iost/releases

地味ではありますが、メインネットの定期アップデート・安定稼働はパブリックチェーンにおける信頼の拠り所のひとつですから、今後も注目していきたいところです。

さて、今回はIOSTのEVM(Ethereum Virtual Machine)互換対応に関する現状と今後の展望(期待含む)について記事を書きます。IOSTのEVM互換対応とはそもそも何か。IOSTはどこまで本気でEVM互換対応に取り組んでいるのか、等について考察していきたいと思います。

IOSTのEVM互換対応戦略の転換

そもそもIOSTは独自のメインネットとトークン規格(IRC)を持っているため、ETHやSOLなど他のブロックチェーンとの互換性はありません。MATICやBSCなどはいわゆるEVM互換であるため、以下のメリットがあります。

  • ETH上で動いていたDAppsを移植しやすい
  • ネットを跨いだ資産の移転がしやすい
  • ETHに比べて安い手数料で利用できる

よくNFT界隈において、「ETH上だと手数料が高くて大変」だから「MATIC使って販売します・サービス展開します」というのを目にすると思います。EVM互換のメリットが活きてくるのはこういうケースが多いのです。
(今となってはETHがアップデートしてIOSTと同じようなPoSに移行したので、この例え話もあまり適切ではなくなってきてますね…)

IOSTは当初EVM互換対応を表明していませんでした。

あくまで独自のメインネットで頑張る(その方がIOSTのメリットである開発のしやすさ・TPSの高さを維持しやすい)というのが戦略であったかと思います。

しかしながら「やっぱりEVM互換が無いとIOSTのユーザーが増えないな・・・」という現実に直面したのでしょう。2019年2月25日のメインネット稼働から約3年経過(遅いよね)、ようやく戦略転換してIOSTがEVM互換対応を宣言したのが2022年3月31日です。

Project Entroverse — IOST’s Path to EVM Compatibility, Cross-Chain Bridge & Interoperable Blockchain Network

この記事ではProject Entroverse2022年4月から始めると宣言しています。

ということで、次にProject Entroverseとはどういうものか、解説していきます。

Project Entroversって何だ

Project Entroversはすごく簡単にいうと下記3点で構成されています。

  • IOSTSWAPというETH⇔IOSTのクロスチェーンスワップが実現できるサービスを近いうちに始めるよ!(2022年4月27日に開始)
  • IOSTのEVM互換対応を推し進めるよ!(まだ開発中)
  • さらにIOSTがもっと盛り上がるためにEntroversファンド(基金)を設立するよ!(2022年4月12日に発表)

3年間ガンコに自分のメインネットだけで頑張ってきたIOSTがついにここまで!と驚くべき内容でした。

ただし、肝心のEVM互換対応は「頑張って開発するよ!」と言及するに留まっており、いまだ開発中なので頑張ってほしいところです(最近のメインネットアップデートが多いのもここに関連しているならいいんですけどね)

では、既に開始・発表済みのIOSTSWAPとEntroversファンドについてそれぞれ状況をみていきましょう。

IOSTSWAPって結局何が出来るの

https://iostswap.com/

IOSTSWAPは端的に言うと「自分の持つIOSTをETHメインネット上でも扱える」ことが実現できるツールです。

今までIOSTは(当たり前ですが)IOSTメインネット上でしか、言い換えるとIOSTメインネットに対応したウォレット上でしか保有できませんでした。

ところが、IOSTSWAPを使うことでETHメインネット上でもIOSTが使える(正確に言うとIOSTメインネット上のIOSTに基づいてETHメインネット上にERC規格のトークンを発行させる)というわけです。

嬉しい人

METAMASK上でもIOSTが保有できる!やったね!

詳しい取り扱い説明書はこちらのリンクを参照してください(英語&中国語)

A linktree of IOSTSwap(IOSTSwap链接大全)

で、これが何の役に立つのか、という話ですが、、

これまでETHメインネット上で稼働してたDAppsにとっては「ERC規格のIOSTに対応するだけで、IOSTが使える」つまり、わざわざIOSTメインネット向けにDAppsを作らなくても、IOSTというERCトークンに対応させるだけでいい、利用用途が簡単に広げられる!ということになります。

Sigma、イーサリアムアドレスへIOSTのメインネットアカウントをエアドロップ、5億IOSTのバーン計画

実際、IOSTSWAPは本気でこれに取り組んでいて、キャンペーンを組んで5億IOSTをIOSTメインネットからETHメインネットにスワップさせようとしていました。ERC規格のIOSTが増えれば増えるほど、IOST自体の需要が増えるはずなので、この戦略は間違っているとは言えません。

ただし、現実はそこまでERC規格のIOST対応のサービスが増えることはありませんでした(これから増えるのか・・・?)

なぜかというと、これはエセEVM互換対応であり、本質的な意味でのクロスチェーン統合・EVM互換対応ではないからです。

ユーザーは毎回IOSTSWAPを通じてIOSTメインネットからETHメインネットにトークンをスワップしないといけません。面倒ですよね。

気付いた人

最低スワップ数も決まっているし、面倒くさい・・・

本当の意味でのEVM互換対応とは、スワップをせずとも自分の保有資産がMETAMASK上でも閲覧できたり、ETHメインネットのDAppsで利用できるようになるべきです。

技術的に難しいことだとは十分わかっていますが、やはりEVM互換対応をキッチリやらなければIOSTの未来は明るくならないのです。だからこそ頑張ってほしいところです。

Entroverse ファンドについて

しかしながら、ただ頑張るといっても「武士は食わねど高楊枝」です。カネが無ければ開発も発展も出来ません。ということでIOST財団が用意したのがEntroverse ファンドというわけです。

IOST Unveils a 100 Million Dollar Fund to Foster the Growth of an EVM Multi-Chain Ecosystem

このファンドの概要は以前図にまとめたので再掲します。

IOSTを使って開発してくれるプロジェクトやエコシステムを改善・拡大してくれるプロジェクトには「お金を出すよ!頑張ってね!」というのがファンドの概要です。

実際、このファンドを立ち上げてから、新規提携のニュースがいくつか出ています。また、IOSTが使えるサービスも少し増えてきました。

NFTマーケットプレイス:TOMONITY ※IOSTでNFTが出品・購入できます

https://www.tmty.io/home

IOSTを活⽤したウォレット内蔵の新しいNFTマーケットプレイス 『tomonity』がスタート

おわりに

AIYAAとしてはまずEVM互換対応を実現してもらえるのが第一ですが、ファンドが設立できるということは「まだある程度IOSTに期待し出資してくれる企業・投資家がいる」ということになりますから、継続的な開発とサービスの拡大をまだまだ応援していきたいと思っています。

かれこれ3年半IOSTをみてきていますが、山あり谷あり、色々な人が参画しては去っていったり、色々なサービスが始まっては消えて行ったり、まあ色々ありますが、、気長に構えていくしかないかな、と。

もちろん、Serviノードとして関わっている立場上、これからもIOST財団に働きかけをしていく予定です。IOSTコミュニティの皆さん、まだお付き合いできる気力があったら、よろしくお願いします。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。