【解説】IOSTがPolkadotと接続する意味

本記事はIOST財団が2021/3/5に発表した「Polkadotとのクロスチェーンブリッジテストが成功した」という記事を元に作成した解説です。
難解な内容を出来るだけわかりやすく解説するために、デフォルメした表現を利用しております。ご理解ください。

IOST財団からの突然の発表

IOST財団から(2021年ロードマップのQ2(4~6月)の目標の一つとして掲げられていた)クロスチェーンに関する発表が行われました。予定前倒しの発表です。

この発表内容、一言で言うと「IOSTがPolkadotと接続する」です。

しかし、この一言で意味を理解するのはかなり難しいため、解説をしていきます。

なお解説は下記の順番で進めていきます。

  • クロスチェーンとはそもそも何か
  • Polkadotとはそもそも何か
  • IOSTがPolkadotとなぜ接続するのか
  • IOSTがPolkadotと接続することで何が起きるの

クロスチェーンとはそもそも何か

クロスチェーンという言葉を初めて耳にした方も多いはずです。
ビットコイン・イーサリアム・リップル・ネムなどは、日本でもメジャーな暗号資産です。これらはそれぞれメインネット(独自のネットワーク)を持っています。

「メインネット?」と思われた方もいると思います。図でわかりやすく表してみましょう。

メインネットは孤立した島です。島の中では問題無いですが、島と島との間で物資(情報)のやり取りをしようとすると、船を出して海を渡らなければいけません。つまり、コスト時間がかかるということです。

では、どうすればいいか?
島と島とをすごい橋でつないであげたらどうでしょう。

すごい橋でつながることで、物資(情報)のやり取りが低コストかつ高速になりました。
文字通り、すごいですね!

このすごい橋クロスチェーンです。

Polkadotとはそもそも何か

次に、Polkadotとは何かを見ていきましょう。

先ほどの橋の例えを続けますが、すごい橋を作るメーカー(プロジェクト)複数いるのです。

この図では3つのプロジェクトを例に出しました。
どのプロジェクトもよりよいすごい橋を作るために頑張っています。このうち1つがPolkadotです。

Polkadotがどのようにすごい橋を作ろうとしているか、は公式の解説動画(英語)に集約されています。

図が豊富でアニメーションが中心ですので、これを見ていただくだけでも、なんとなく分かるかと思います。

Polkadotについての詳しい解説は、既に様々なクリプトメディアでまとめられていますので、本解説最後の参考記事よりお読みください。

ここまでで言いたいことはひとつ。Polkadotはすごい橋を作っているのです。

IOSTがPolkadotとなぜ接続するのか

さて、ここからが本題です。

IOSTはPolkadotと接続するために頑張っています。接続のためには開発・テストが必要ですが、今回は「それ(テスト)がうまくいきましたよ!」という発表です。

図にしてみましょう。

IOST島には他の島には無い特産品(低コスト・高速な処理能力)があります。
しかしながら、孤立しています。
他の島の住民はIOST島の噂は聞いていますが、孤立しているし遠いし、わざわざ利用するのも億劫なので使おうとは思いません。

そこで、IOST島は島の開発を行い、Polkadotというすごい橋と接続を試みます。

今回の発表時点では、この試みのテストが成功した、という状況です。

IOSTがPolkadotと接続することで何が起きるのか

何が起きるのか、どのような効果がもたらせるのか、を箇条書きで書いていきます。

今回の発表内容から想定できる効果を記載したものであり、記載内容が必ず実現されるかどうかは今後のIOST財団の発表・進捗に依ります。

サービス利用者目線でのメリット

  1. 低コストでブロックチェーンサービス(DApps,De-Fi等)が利用できる
    例えば、イーサリアムメインネット上では高い手数料(ガス代)を支払ってサービスを利用していましたが、その必要が無くなります(手数料の安いIOSTメインネットを選べるようになるため)
  2. サービスを気軽に乗り換えられる
    例えば、イーサリアムメインネット上でしか利用できないサービスからIOSTメインネット上のサービスに乗り換える場合、IOSTをわざわざ購入しなければいけませんでしたが、その必要が無くなります(同じサービスのままIOSTメインネットが利用できるため)

サービス開発者目線でのメリット

  1. IOSTメインネットを使った開発が容易になる
    これまでイーサリアムメインネットで開発してきた開発者は、開発言語も仕様も違うIOSTへの乗り換えコストが大きいため、手数料が高くてもイーサリアムメインネットを利用し続けてきましたが、今後は気軽にIOSTメインネットを利用できるようになります(わざわざ各メインネットのためにプログラムをすべて書き直す必要が無くなる)
  2. 運用コストを下げられる
    これまでブロックチェーンサービスを維持・運用する(トランザクションを発行する)ためにコストがかかっていましたが、最適なメインネットを自由に選択できるようになることで、適切なコストに抑えることができるようになります。
  3. 動作の遅さに悩まされない
    処理速度の遅いメインネットを利用していることで、ブロックチェーンサービスの動作が遅く悩んでいた方も、これからは早いメインネットを選んで快適なサービスを構築できるようになります。
  4. ユーザーの拡大が見込める
    これまでIOSTメインネットで開発されてきたサービスは、(IOSTの購入が必要なため)どうしてもユーザーの伸びに限界がありましたが、IOSTの購入が必須ではなくなることで、新規ユーザーの獲得がしやすくなります。

参考記事

今回の記事を書くにあたり、参考にした記事です。ご興味のある方は是非ご一読ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!